第2巻で西太后が身罷り、溥儀を次帝に指名した。
それは、列強の手に中国を渡さないために、清を終わらせると共に中国人による政権に次をゆだねるためであった。

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裏表紙に大体のストーリーが書いてある。歴史モノは、ストーリーとしては動かせない。
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さて、3巻から主人公がほぼ2人に絞られてくる。
一人は溥儀から政権を収奪する袁世凱。
袁世凱のやった行為は収奪に違いないが、歴史的な意義として清王朝を終わりにし、欧米列強に与せず中国人の政権を守る行為であった。
それでも著者による袁世凱の描写はひたすら醜悪。
見た目からしてでっぷりと太り、行動に志はなく、相手を裏切ることも厭わない。
ちなみにこの小説では子供の溥儀はあっさりと退場する。


もう一人の主人公は張作霖である。
こちらの描かれ方はひたすら格好いい。まさに袁世凱と対極である。
清軍を乗っ取り、東北を支配するまでになっても、アイデンティティである馬賊の総ランバの立場を崩さない。自らの行動原理の下、時に厳しく時にやさしく明快な判断を下していく。
中原の虹の真の主人公である。

そして、張作霖は奉天に来た革命勢力を斬殺し、孫文とも決別する。
これで最終巻へと突入するのである。